コロナとメイドカフェでノマド会

この記事はメイドアドベントカレンダー2020の1日目です。

こんにちは、メイドカフェでノマド会代表のいしがみプロです。

みなさん、メイドさんは好きですか?
みなさん、IT勉強会は好きですか?
メイドとIT勉強会、全く違うように見えるこの2つ、
両方を大きく揺るす出来事が2020年に起きました。
ご存知の通り「新型コロナウィルスCOVID-19」感染症です。

メイドカフェとIT勉強会はともに「オフラインである」ということを重視してきました。
ICT時代、人とリアルで話すということが減る中、あえて「そこへ行く」ことで人と会えることを大事にしてきました。

「3密」を防ぐ「新しい生活様式」のもと、その在り方が大きく問われています。
「オフライン」はどこへ行くのか、メイドとIT勉強会両方の側面を持つコミュニティである、メイドカフェでノマド会が2020年にどのように向き合ってきたかを書こうと思います。

コロナ以前のメイドカフェでノマド会

メイドカフェでノマド会は2016年に活動を始めました。
「メイドカフェでノマドワークをすると捗る」ということを広げるため、メイドカフェさんを会場としてもくもく作業をする会を開催していました。

そのうち、参加者の中に自らメイドとしてお給仕したいと申し出てくれる方が現れ始め、今ではメイドさんが10人以上所属しています
2019年にはイベント開催回数51回、イベント開催地は秋葉原、新宿、大阪日本橋に広がり、さらに名古屋や福岡にも進出しようとしていました。

さらに、お声がけがあって、東京都主催のイベントにも参加する予定もありました。
もし実現していたら、メイドカフェさんと並んで参加させていただくことになるので「お揃いの制服があるといいよね」という声があり、オリジナルメイド服を作りました。
メイドさんの中に服のデザインや製造の調達ができる方がいたため、とても素晴らしいオリジナルメイド服を作ることができました。

メイドカフェでノマド会オリジナルメイド服

コロナ自粛期間のメイドカフェでノマド会

結局、コロナウィルス拡大の影響で、当該イベントは中止となってしまいました。
そのまま「緊急事態宣言」下の「自粛期間」に突入します。

メイドカフェでノマド会はITコミュニティということで、比較的リモートへの取り組みが早かったと思います。3月頃からリモートイベントの調整を行い、4月には2回「リモートノマド会」を開催しました。
また「リモートノマドroom」という取り組みを始めました(リモートノマドroomについては12/5にmocamocalandさんが記事を書いてくれるみたいです。Zoomの会議URLをSlack上でオープンにしておき、ノマド会のメンバーがいつでも参加できるようにしています。(リモートノマドroomについては12/5にmocamocalandさんが記事を書いてくれるみたいです)

リモートノマド会
リモートノマド会のイメージ

徐々にメイドカフェさんやIT勉強会のリモート化が広がっていく中で、メイドカフェでノマド会はイベントの開催をストップしました。
確かにリモートノマドイベントは参加者が集まりますが、内部で「やりたかったのはこれじゃないよね」という声が出てきたからです。

オフラインイベントの再開

6月になると「緊急事態」が解除され、メイドカフェさんなどの飲食店もこの頃には通常通りの営業を再開し始めていました。
メイドカフェでノマド会でも「そろそろお給仕したい」と言ってくださるメイドさん「そろそろみんなに会いたい」と言ってくださる参加者さんがいるので、「3密」を防ぎつつ、オフラインイベントの開催を再開に踏み切ることにしました。

「第2波」で再度活動を停止していましたが、10月以降は開催人数を絞りつつもオフラインイベントの開催を続けています。

マスクをつけたメイドさん
メイドさんはマスクでお給仕します
マスクをつけたメイドさんも素敵ですね?

ウィズコロナ時代のコミュニティの必要性

ウィズコロナの時代に「不要不急」とみなされるオフラインイベントを開催している私たちは叩かれるかもしれません。
しかし、今の時代だからこそコミュニティが必要だと思っています。
そしてコミュニティにはオフラインも必要だと考えています。

「テレワーク」が広がったことで、会社や学校では「新入社員の顔がわからないよね」とか「飲み会が減ってコミュニケーションが不足しているよね」というような声が出ています。
しかし、会社や学校のような組織は責任問題が生じやすいため、今までのように「密」な人との繋がりを戻すことは難しいと思います。

そもそも、会社は仕事をする場所であり、学校は勉強をする場所です。
これまでは「場所」という制約があったため、そこに「出会い」があり「コミュニティ」としての性格も持っていました。
しかしながら、緊急度が高い状況下では、より本来の目的が重視されます。
よって、リモートが可能な業種の会社は原則テレワークのみとなり、学校は実習を覗いて原則リモート授業になることは当然と言えます。

一方で、人が生きていく上では「人との繋がり」が重要です。
私は昨年妻を亡くしたため、家で一人で暮らしています。
今年5月頃には誰とも会わない生活をしていたため「コロナうつ」のような症状になってしまいました。

それで気がつきました。
人には「人とつながれることという選択肢が必要なのだ」ということを。

「メイドさんのいる定時後の自習室」の開催風景(コロナ以前撮影のためマスク着用されていませんが現在はマスク着用をお願いしています)

オンラインだけではダメな理由

「オンラインのみで繋がれば良いではないか」というとそうでもありません。

コミュニティは人が自由に出入りできることが重要です。
その時「オンラインのコミュニティにいきなり入る」ことはハードルが高いと思います。
知らない人しかいないSlackやZoomにいきなり「初めまして」をできる人はあまり多くないと思います。

新規の人が流入しないと「内輪」集団色が強くなってしまいます。
内輪集団でも良いかも知れませんが、新規参加者のいないコミュニティは、所属する人それぞれの生活の変化などで徐々に離れてしまう一方になりがちです。
気がついたら立ち消えてしまうコミュニティも多いのではないでしょうか。

コミュニティは、新規でそこに足を踏み入れる人にとって価値が高い可能性があります。
もちろん長く関わって、価値に共感し、多く貢献をしてくれる人はとてもありがたい存在で、とても大切な人たちです。
一方で「そこに初めて訪れる」人は何かの必要があってそこに来ています。
常に新しく人が来続ける状態を維持してこそ、そのコミュニティに存在価値を認識できると私は考えます。

メイドカフェでノマド会は、より良い作業環境を求め、「メイドさんって良いよね」という価値に共感する人たちが集まるコミュニティです。発足当初から現在に至るまでイベントをするたびに少しずつ新規の方に参加いただいているので、その価値はきっとあるのだと認識しています。

感染症予防のためにやっていること

とはいえ、以前と全く同じようにはできません。
万が一のことが起きないよう、主催者として責任が重くのしかかります。
そこで次のように対策をしています。

  • 参加人数を会場定員の約半分に絞っています
  • マスク着用、検温、手洗い、消毒の徹底を呼びかけています
  • 参加者同士が「密」となる名刺交換や対面の会話を推奨せず、Slackに誘導してそちらで交流するように促しています
  • 飲食物の持ち込みは禁止していませんが、個包装にならない飲食物の配布は控えてもらっています
  • 万が一の時に連絡が取れるように、イベントサイトからのメールが受信できるように確認を呼びかけ、接触確認アプリのインストールも推奨しています
  • オンラインでの参加もできるように会場からZoomに接続しています
今では行っていませんが一時期は連絡先の記入をお願いしていた時期もありました。今は「メール連絡が取れること」を前提として参加いただいています。

お給仕してくれるメイドさんと、参加してくれる人がいるなら続ける

この対策を行っているため、運営費は若干の赤字になっていますが、これまでにプールしていた運営費と、主催者自身がその必要性を認識して毎月わずかな持ち出しをすることによって維持できています。

「お給仕をしたい」と言ってくれるメイドさんがいて「参加したい」と言ってくれる参加者さんがいれば、その必要性が認識されていると思いますので、なんとかしながら続けて行きたいと思います。
逆に「誰もやりたくない」「参加したくない」となったらこの会は役目を終えたのだとして終了するのでしょう。

まとめ

具体的な対策をまとめたテクニカルな記事としてまとめられず、とりとめのない文章になってしまい申し訳ありませんが、これがメイドカフェでノマド会という「コミュニティ」の主催者としてこの1年で考えたことです。

感染症というシビアな状況下でこそ「自分たちは何をやっているのか」に立ち返って、本当にすべきことを追求していくことが求められていると思います。
その中で、メイドカフェでノマド会は「コミュニティ」であることの価値を認識し、そのために「オフライン」という要素も必要であるということを認識しました。

メイドカフェさんに対して意見を述べるには大変おこがましいですが、個人でイベントを開催しているメイドさんや、IT勉強会を開催されている方たち、そして、そこに参加している方たちには、多少は参考になるのかもしれません。もしこの記事が誰かのお役に立てたら幸いです。

読んでいただきありがとうございました。


メイドカフェでノマド会2019年活動報告

この記事はメイドアドベントカレンダー2019の19日目です。

今日は、メイドカフェでノマド会2019年の実績・集計資料を公開します。

12月28日の忘年会ではこちらの内容を元に振り返りなどを行いたいと思います。
どなたでも参加することができます。


メイドカフェとティール組織

この記事はメイドアドベントカレンダー2019の4日目です。

今日は、メイドカフェオタクにして、「メイドカフェでノマド会」という組織のリーダーでもある僕が、組織運営とリーダーシップについて、メイドカフェに当てはめて考えてみたいと思います。

僕がメイドカフェで組織運営を考えたきっかけ

今でこそ、メイドカフェでノマド会の代表をやっている僕も、初めてメイドカフェに通ったのは2015年1月なので今から5年前になります。その時期の僕は、この記事でも少し書きましたが、仕事でうまく行かず、良い組織とはなにか、リーダーとは何かを考えていた時期でもありました。

メイドカフェ通いが理由で会社を辞めることになりました

その時、僕は理想の組織を見つけた気がしました。当時通っていた女中酒場幻橙館というお店は、鈴峰桐さんというメイドさん店長を中心として、メイドさんたちやお客さんたちがとても仲が良い素晴らしいお店でした。

僕はトップダウン式の「俺が引っ張る」タイプのリーダーではなかったので、こんな感じでみんなが仲良くて、それぞれが才能を発揮してのびのびとやっていけるチームを作っていくのが合っているのではないかと思いました。

そこで、メイドカフェでノマド会という組織を作ってみました。

メイドカフェでノマド会にメイドさんがいる理由

メイド好きがメイドさんとイベントを運営する時気をつけるべきこと

このように「組織運営」という観点でメイドカフェを見ている僕にとって、今年面白い本を読んだので、その内容をメイドカフェに当てはめて考えてみたいと思います

ティール組織とは

今年の初め、友達の勧めで読んでみたのはこの本です。

この本を書いた人はフレデリック・ラルーさんという人です。

彼はマッキンゼーから独立してエグゼクティブ・アドバイザー等として活動している人で「新しい組織モデルが出現している」ということを確認するため2年半に渡って世界中の企業を調査した結果をこの本にまとめました。

彼は組織が時代に応じて進化しているという着眼点でまとめました。そして、組織の形態を次の5段階に当てはめて説明します。

  • レッド組織: 力・恐怖による支配
  • アンバー組織: 規則・規律・規範による階層構造。
  • オレンジ組織: 実力主義と効率化に基づく階層組織。
  • グリーン組織: 多様性と平等を目指すコミュニティ型組織。
  • ティール組織: 変化の激しい時代における生命体組織

これではわかりにくいのは、僕は独自にこの話を次のように理解しています。

  • レッド=戦国時代: 生きるか死ぬか。殺すか殺されるか。
  • アンバー=江戸時代: 江戸幕府絶対。忠臣蔵な世界。
  • オレンジ=明治維新: 文明開化と効率化。
  • グリーン=昭和: 家族型経営、松下幸之助
  • ティール=未来: 新しい時代の組織のあり方(?)

ちょっと強引な理解ですが、こう考えるととてもわかりやすいと思っています。そういえば、今年、明智光秀の舞台を見に行きましたが、まさに殺伐とした感じが「レッド組織」そのものだと思いました。

メイドカフェに各組織段階を当てはめてみる

レッドなメイドカフェとは

レッド組織は「殺すか殺されるか?」という生命の維持を動機としています。力のある者は力のないものを支配し、力のない者は力のある者に守ってもらうことによって生き延びようとします。

これをメイドカフェに当てはめるのは難しいでしょう。

詳しくないのであたっていないかもしれませんが、どちらかというと個人プレイの性質がより強いキャバ嬢はこっちの要素もあるかもしれません。

アンバーなメイドカフェとは

アンバー組織では序列がしっかりしています。メイドカフェに当てはめると、後輩メイドさんは必ず先輩メイドさんを敬わなければならないというような序列があったりするような状態です。

アンバー組織は軍隊のような大きな組織を作るのに適しています。一方、組織を維持するために大きなコストを払わなければならないため、効率が非常に悪く、店舗経営には向かないような気がします。特に個人経営のような小さな店舗ではこのやり方では維持できないでしょう。そこで、多くのお店はオレンジ的に運営されているのではないかと思います。

オレンジなメイドカフェとは

オレンジなメイドカフェは、実力主義・効率主義が徹底しています。売上などの目標を定めて、みんなで達成するように努力する。総選挙のようなことをやってメイドさんを評価するのもありかもしれません。

オレンジ路線を極めたお店は「クオリティが高い」「納得感のある」お店に映るかもしれません。その一方でこれだけでは「普通のお店」のような気もします。そもそも、メイドカフェ自体が「効率の悪い」業態なので、わざわざメイドカフェなんかやめてもっと稼げる業態にすべきです。

メイドカフェには効率だけでなく「メイドさんの個性」や「多様性」というものも必要ではないかと思います。そして、ほとんどの「良いお店」は次の「グリーン」的な要素を持っていると思います。

グリーンなメイドカフェとは

グリーンなメイドカフェではメイドさんやお客さんの個性や多様性を認めようと努力がなされます。グリーンなメイドカフェで働くメイドさんは次のようなことを言うでしょう。

「うちのお店ってアットホームだよね」

「みんな仲良しで家族みたいだよね」

利用するお客さんたちも

「この店はなんか居心地が良いな」

と言ったような額面以外の価値に気づいて、つい行きたくなってしまいます。

その裏では、運営者やリーダーの方々のたゆまぬ努力が繰り広げられています。僕が今まで話したことがあるメイドカフェの経営者さんは皆素晴らしい方々でした。メイドさんたちがどのようにしたら気持ちよく働けるか、お客さんが楽しめるかを一生懸命考えられています。

ティールなメイドカフェとは

さて、そして最後はティールなメイドカフェです。ティール組織では、個々のメンバーが細胞のように振る舞います。メイドさんたちは自主的に考えて行動(自主経営)し、メイドさんとして働くことが自分の生き方の表現であると考え(ホールネス)ています。

僕が好きだった、女中酒場幻橙館は、桐さんをリーダーとしつつも、若い店長を「みんなで支えよう」として、すべてのメイドさんたちが得意な分野で才能を発揮してみんなでお店を良くしようとしていました(という風にお客さん視点では見えました)その雰囲気はメイドさんたちだけでなく「ご主人さま」「お嬢様」方にも波及し、様々な貢献を率先して行う人たちの集まりでした。

今思うと、幻橙館はティール組織だったのかもしれません。

細胞を束ねて組織をするためには「存在意義」が必要です。「存在意義」というと難しいです。それは言葉で表せる「コンセプト」だけでなく「なんとなく、残したい雰囲気」のようなものを持っているのです。女中酒場幻橙館は閉店後も3年以上「月一幻橙館」として、メイドさんや当時のお客さんたちが集っていました。このように維持されるのは、暗黙に皆が「存在意義」を感じていたからではないでしょうか。

メイドカフェにはグリーン・ティールが必要

思うに、レッドアンバー<<オレンジ<<<<グリーン<<<<<ティールの順に、そのお店が面白くなるような気がします。「良いお店」とは、多様性があって、個性が認められて、働く人が輝いています。それはグリーンやティールの要素です。

メイドカフェとは、働く人の個性や多様性がより重視される業態だと思います。

経営という観点ではオレンジ的な考え方が重視されがちだと思いますが、本当に成功するためには、これらのニュアンスを取り入れることが必要だし、すでに自然と取り入れられているような気がします。

だから、良いメイドカフェを観察すれば、自ずと「グリーン」や「ティール」のようなニュアンスを学ぶことができるのではないかと思います。

メイドカフェでノマド会をティールにできるか?

メイドカフェでノマド会は比較的組織構築がうまく言ったと思っています。もっとも、「組織」というほど強い枠組みを作らないようにしています。それは、当初から僕が階層構造にうんざりしていたからもあり「なるべく階層を作らないように」と考えていました。

そして、ティールなメイドカフェである、女中酒場幻橙館を参考にしていたこともあり、理想はティール組織にしたいです。

ただ、現段階ではほとんどのイベントを僕が企画・運営していることもあるので、まだグリーン組織かなと思います。しかし「私もイベントをやってみたい」「ノマド会を企画したい」という人が徐々に出てきており、その人達を支援したいと思っています。いずれは、メイドカフェでノマド会のノウハウを、各々が思う目的を達成するために使ってもらえればと思います。

イベントオーガナイザー紹介

メイドカフェでノマド会ではイベントオーガナイザーを募集しています。「メイドさんやメイドカフェと絡めて何かをやってみたい」「自分の好きなお店でメイドカフェでノマド会を開催したい」というような方は、ぜひTwitter (@maidnomad) へDMでご連絡ください。