Monthly Archives: 8月 2017

【0から1への発想術】でチェックする「メイドカフェノマド会 」(2/2)

前回は優しい同僚に拡散してもらったため、良い反響をいただきました。まだの方は先に前半を読んでください。

【0から1への発想術】でチェックする「メイドカフェノマド会 」(1/2)

それでは、気持ちが冷めないうちに後半を書きたいと思います。

BPRAについて

せっかくなので本題に入る前に、僕がこの本を読むきっかけになった社内読書会、BPRA (BeProud Read for Action) を紹介します。

僕の所属する会社、株式会社ビープラウドは、メンバー一人一人の技術研磨にとても熱心な会社で、就業時間内にも社内勉強会が開催されたりします。その一つBPRAは読書のファシリテーション技術Read for Actionを活用し、付箋を活用しながら2時間くらいかけて一気に一冊を読みます。短時間でみんなで一気に読むことで、参加者の知識の共有、ディスカッションが醸成され、一人で黙々読むよりも何倍も効果的に本が読める手法です。

ビジネス書が多いように見えますが、機械学習やデータ分析等、専門的な分野の書籍を扱うこともあります。所属する社員はほぼ全員がエンジニアですが、このようなビジネス書でも盛んに意見を飛ばし合って楽しく議論しています。

15の発想法をメイドカフェノマド会と照らし合わせる(後半)

さて、では後半行きます。

基礎編9. RTOCS/他人の立場に立つ発想

「もし、自分が○○だったら。」想像してみることはありますか?このRTOCS (Real Time Online Case Study) とはMBA向けの学習手法の一つで「あなたが今○○社の社長だったら」ということを毎週徹底的に受講生の間でディスカッションするトレーニング方法だそうです。その間には、単なる好き嫌いではなく、徹底的なデータ分析をかかさず行うことが必須だそうです。この道の人にはポピュラーな手法なのでしょうか。

MBAなんか勉強したことがない僕なので、初めて聞く言葉ですが、これを聞いてあるエピソードを思い出しました。

ある日、その時勤めていた会社の先輩を某メイド喫茶に連れて行った時、強面だけど優秀なビジネスマンである彼が「きみも一人の客として店に関わるのではなく彼女たちがどうしたら幸せになれるか、ビジネスを考えられるようになれ」とアドバイスしてくれました。

「もし、僕がメイドさんだったら、どうなったら幸せだろうか?」

その日から一生懸命考えました。メイドさんの仕事は楽しい。でも長く続けられない。なぜ?若くなくなるから?それもある?でも、一番大きいのは給料が安いからではないか?(ITエンジニアの35歳定年説と同じです)なぜ?

  • メイドさんの給料は安い
  • お店の経営は厳しい
  • お客さんから見たら安くはない

そうしていくと行き詰まってしまいました。どうしたら良いでしょうか。

行き詰まったら2つ上の立場で考えろ

大前さんは書いています。この本は当時読んでいませんでしたが、メイドカフェ店長、オーナー、さらに、都市としての秋葉原というところまで思想が巡っていきました。

そこで立てた仮説は

  • メイドさんの給料が安いのは、お客さんの絶対数が少ないからだ
  • なぜか。メイドカフェに通う人は恥ずかしがって通っていることをオープンにしないからだ!

じゃあ、僕はオープンにしよう!好きなお店にみんなで行けたほうが楽しいじゃないか!7,8人のグループで行くと簡単に2,3万円の売上になる。一人の「ご主人様」が「豪遊」しても1万円。そうして同僚や友達を連れてきてみると、ウケが良い!女性の方も喜んでくれる!あ、これはいける!!これがノマド会の原点かもしれませんね。

一度習慣が身につくと

  • 最近オープンするメイドカフェはバーみたいなところが多い
  • なぜか?単価を高くしなければならないから
  • なぜか?家賃が上がっているからだ!

などなど、メイドカフェを見るともはや一人のメイドさんがというより、全体の仕組みがどうなっているか興味を持ってしまうようになりました。その全体の中で自分がするべきことは何か、考えていたら、気がついたらノマド会を19回もやっていました。

データはコミケに行けば集まる

メイドカフェ評論本
メイドカフェ評論同人誌は多い

実はメイドカフェという世界は、コミケ等で評論本も多数出されていて、研究対象としてのデータは十分揃っています。データが足りないという言い訳は通用しません。

もし、あなたがMBAを志していているなら、メイドカフェはRTOCSの入門に最適かもしれません。

基礎編10. すべてが意味することは何か

What does this all mean?

「A, B, Cという事実を足し合わせて結論を得るのではなく「X」という発想に飛躍させる。」そのためには、こう問い合わせて見ると良いらしい。

具体例としては、少子化はペットビジネスの新しい形態を生むという、大前氏のアイデアが紹介されている。

  • 子どもが減っている
  • ペットビジネスが盛り上がっている

これだけではAとBに過ぎない。そこで、What does this all mean?

  • 核家族の単位が変わっている(両親+子供2→両親+子供+ペット)
  • ペットを家族の一員とみなしたビジネスが伸びる

そして、

  • 子供向けビジネス→ペットを子供と考えるビジネス

これを、メイドカフェでノマド会でやるとこうなるかもしれません

What does this all mean?

「みんなメイドカフェに行きたがっている。けど踏み出せない」

→だから、ガイド役が必要!

つたない思考ですが、What does this all mean? のミニチュア版ではあったのではないかと思います。

そして、ノマド会をやり続けていくと、あとは自動的ですた

  • ノマド会をやってみた
  • 「平日日中にやってほしい」と言われた
  • やってみたら意外と人が集まった
  • そういえば社長の方の参加が多い
  • メディアの方も来て記事にしてくれた!

そして、日経BPの方に書いていただいた記事のこのタイトルこそ現時点の「What does this all mean?」だと思います。

「メイドカフェでノマドワーク」が働き方改革の切り札ってホント?:ITpro

僕は「働き方を改革」しているとは、考えていませんでした。

本来、”What does this all mean?” は自ら考えてプッシュなければならないのかもしれません。 しかし、現時点では参加者の方を観察して教えてもらうことが多いです。

基礎編11. 構想

人には「見えないものを見る力」があるそうです。ウォルト・ディズニー、ビル・ゲイツ、ラリー・ペイジ、彼らは、まだそこにない「何か」を人々より先に見ていて、そして実現した人たちのだそうです。

大前氏は「お台場は90年代にはペンペン草が生える空き地だった」と語ります。ここに何を作るか、大前氏はスクウェアの創業者宮本雅史氏とともに構想し、劇場型の街「ヴィーナスフォート」を作ったエピソードを紹介しています。

「構想」は個人の頭の中で絵になる

コンセプトとかビジョンという言葉はその一段下らしい。これらは人に説明するための一段下のツールなのだそうだ。

そうすると、少なくとも「メイドカフェでノマドワークは捗る」というコンセプトを打ち出して何か行動をしている僕にも、その後ろ側に「構想」が無自覚にあるような気がしてきました。というのは、僕自身が何か一貫した者に動かされていると自覚しているからです。

メイドカフェノマドには構想があるか

もしかすると、メイドというキーワードに以前に僕はノマドなのかもしれません。「究極のノマドを追求したらメイドカフェに行き着いた」そんな気がします。

申し訳ありませんが、少しだけ昔話に付き合ってください。例えばこんな記事を書いたことがあります。

首都圏でJR線の一筆書きルールを利用してノマド作業をするのに適したコース9選

僕は当時ベンチャー企業に勤めていました。小さな会社なので、良くも悪くも管理が緩かったので、結構好きな時に好きな場所で働いていました。どうせなら「好きな場所で仕事がしたい」と、鉄道が好きな僕は、よく日帰りで電車に乗りながらノマドワークをしていました。お陰で首都圏の鉄道はほぼすべての区間を乗ってしまいました。

一緒に働く仲間にも恵まれていて、そこでは、一人一人が得意技を持っていて、お互いに信じ合いながら、ガンガン業務をこなしていました。こんな発表もしました。

テンプレートエンジンを利用してプログラマーとWebデザイナーが共同作業をする上で大切なこと

その会社はその後成長していわゆる優良企業になったようですが、当時の自由さと楽しさを知っているのは当時を知る僅かな人たちだけでしょう。

働く環境といったらかくあるべし」という信念があったような気がします。

メイドカフェに通い始めた頃の僕に見えたメイドさんは、当時の仕事と仲間のように、自由で、自分の特技を持っている素晴らしい人達でした。メイドカフェに集まるお客さん・ご主人様お嬢様たちもとても個性あふれる人たちです。こういう人が一箇所に集まって良いんだ!

「メイドカフェでノマドワークを呼びかけたら、やはりそういう、自由で、才能がある素晴らしい方が集まるに違いない!」

やってみたら、そうなりました。この一年で大変素晴らしい方々に出会いました。次なるステップは、こんな素晴らしい人達が力を合わせて、既存の「会社」という枠組みを超えた大きいことをしたい。そして、その成果を今度は「会社」に戻して、人々が楽しく仕事できる環境を作っていきたい。

「働き方改革」というのは、そういうことから来ているのかもしれません。

実践編1. 感情移入

  • 富嶽三十六景を描いた葛飾北斎
  • ユニ・チャームの創業者高原慶一郎氏
  • 日本マクドナルドの創業者藤田田氏
  • ナイキの創業者フィル・ナイト氏
  • そして、スティーブ・ジョブズ

彼らに共通するのは「感情移入」だという。北斎は富士山に感情移入した。ユニ・チャームの創業者は「女性」に感情移入した。マクドナルドの社長は「日本人はもっとハンバーガーを食べるべきだ!」と訴えた。

よく「レストランを開きたい」という人はいる。しかしレストランの厨房で一日23時間働く覚悟がなければ。また、稼ぎがまったくなくても「この仕事が本当に好きだから」と言えるようでなければ、やめた方がいい

これはナイト氏の言葉らしい。しかし、メイドカフェ界隈を見ていればこの話はよく分かる。メイドカフェを経営されている方はまさにこの言葉が当てはまる方々ばかりだし、一人一人のメイドさんにしても「メイド」という仕事が好きでなければとても続けていけない。

これはスティーブ・ジョブズのいわゆる伝説のスピーチでは(仕事が)「好き」という言葉が何度も出てきます。


Appleを追放された時も「自分の仕事をまだ好きでいた。だから再出発した」という。「自分の行いを愛していたからこそ止めることなく続けられた」「まだ見つけていない人は探し続けましょう。安易に落ち着かないでください」

メイドカフェが大好きだが、僕はメイドさんになれない

僕はメイドカフェに出会い、「あ、これは僕の好きなものだ」と直感しました。もし、僕が女性だったら、なんとかしてメイドさんになれないか考えたと思います。しかし、現時点では男はメイドになれません(笑)それでは、自らメイドカフェを経営したらどうか?それをやる経営ノウハウも、開店費用もありません。それでは何ができるか?考え続けることができたのは、メイドカフェが好きだったからなのでしょう。

一方、僕はITエンジニアという仕事も好きです。どっちかを取れなどと言われたら困ります。だから、両方を取りました。

  • ITエンジニアという仕事が好き
  • メイドカフェという場所が好き

この2つの「好き」が強烈にあるからこそ、やめることができず、問題があったら全力で考えて、結局次のアイデアが出て来ると思います。

実践編2.どんぶりとセグメンテーション

  • どんぶり(いわゆるどんぶり勘定)
  • セグメンテーション

これは、ビジネスの分野で正反対に位置する有効な戦略らしいです。そして、いっとき、業界はどちらか一方に偏ることがあるらしい。そんな時に「真逆の振り子を振れ」と言う。

例えば、年齢、性別、髪質ごとに様々にカテゴライズされていたシャンプー業界に登場したどんぶりが「リンスインシャンプー」だそうです。

今メイドカフェ界隈はセグメンテーションが横行しています。よく「初めての人におすすめのメイドカフェはどこか?」と聞かれますが、その人が何を求めているのかヒアリングしないと、最適なお店を教えられない状況です。ノマドがしたいのか、まったりしたいのか、盛り上がりたいのか、お酒が飲みたいのか、魔女が好きなのか?妖精が好きなのか?ロング?ショート?。。。

一方「どんぶり」で攻めている店はあります。街を歩いているとビラ配りのメイドさんが立っていて、案内されて行ってみると、とても萌え萌えきゅんきゅんしていて、セットメニューを勧められる。それがそこそこの値段がするので、メイドカフェファンの間では「ぼったくりではないか」と言われています。それに対してあるメイドさんはこう反論します

「秋葉原には毎日遠方からはるばる来られています。海外から来られる方もいます。そういう方々に一回で、メイドカフェらしい体験をすべてして頂く必要があるんです」

まさしくどんぶり型の発想です。彼らは「秋葉原に行った」「メイドカフェに行った」という体験がしたい。「俺はメイドさんと萌え萌えじゃんけんしたぜ!」と言いたいのです。そこへ適切にアプローチしているのだとも言えます。

ノマド会というのは、ある意味「ノマドワーカー向け」というセグメンテーション方式でありながら、一方でどんぶりでありたく思います。「秋葉原でノマドワークをしたい」人すべての方は「僕についてきてください!」と胸を張って言いたいです。

実践編3.時間軸をずらす

「トータルコスト」の考え方で高額商品を売る。TCO (Total Cost of Ownership)という考え方がある。パソコンを売るセールスマンが「A社のパソコンは購入時の金額はB社よりも高いが、5年間使うならメンテナンス費用の点で有利だ」などと言って顧客に提案するのはこの考え方だという。コピー機や高額医療機器、重機の世界ではポピュラーな手法だそうだ。

NPV (Net Present Value) という手法もある。これは不動産など、将来それが生み出す価値を現在に転嫁する方法で、香港の新空港建設時の資金を民間から調達方法として活用された。

BOT (Build Operate Transfer)という手法も説明されている。外国企業が発展途上国などで本来公共事業となるような事業を行い、一定期間収益を回収した後に相手国に施設を譲渡する方式だそうだ。

これらの手法を書かれているのは大前氏が国家レベルのアドバイザーとして活躍されているからだろう。ちょっとスケールが大きすぎて度肝を抜かれてしまいます。

国家レベルといわずとも、メイドカフェの発展を考えていくなら、このような「時間軸」をずらす、つまり「今は資金がなくても、将来の価値を提案して調達する」仕組みは必要になってくるのでしょう。

この界隈だと「クラウドファンディング」で開店費用や新制服や店舗の移転費用を調達した事例が聞かれます。

メルヘンの街の英国風メイド喫茶「メルト」でお客様と地元を元気にしたい!

ご主人様に最高のお給仕を!「隠れ家メイドBarメーァ」グランドオープンをオリジナルの制服でお迎えしたい

世界初!元祖メイド居酒屋『昔ながらの秋葉原のメイドカフェがあってもいいかな』

同僚と話していて

ソフトウェアや製品ならスケールするが、飲食店はスケールしないからクラウドファンディングは難しいのではないか

という問いが生まれました。しかし、実際に成功事例が出てきている。これを僕はこういうことだと思っています。

ファンにとっては「お店があること」が重要であって、すべての「ご主人様」「お嬢様」がいつもそこに行けるわけではありません。でも、久しぶりに秋葉原に行って、そこにお店に行ったら「ない」となっては悲しいです。そうであれば、一見利益が見出せそうがない、飲食店に対するクラウドファンディングでも、メイドカフェでは成立するのでしょう。

ただし、その第一条件として「この人ならやってくれる」という信用が必要です。本には触れられていませんが、時間軸をずらすためには、なによるも第一に信用が必要ではないかと思います。

現時点で僕がメイドカフェでノマドをクラウドファンディングで資金調達しようとは考えていません。しかし、何らかの転機があるかも分かりませんし、何かアイデアが浮かんでくるかもしれません。その時「資金がない」と諦めるのではなく「時間軸をずらせばよいのだ」と発想を使えるように、今は信用をコツコツ蓄積していくことが大切だと考えています。

実践編4.横展開

この本の言う「横展開」とは他業種のアイデアを応用することのようです。

例えば、トヨタの「かんばん方式」というものがあります。これは「必要なものを、必要なタイミングで、必要なだけ」生産するシステムです。これをアパレル業界に応用したのがスペインのインディテックスという会社です。また、その「かんばん方式」自体、元々はスーパーマーケットからヒントを得て学んだ仕組みらしいです。

他の業界で上手くいっているやり方を取り入れてみる。これは成功するアイデアの典型みたいなものだと思っています。

僕はメイドカフェで行われていることこそ、他業種は参考にするべきだと思っています。例えば、メイドカフェではお給仕しているメイドさんの誕生日に近い日に必ずイベントが行われ、そのメイドさんにちなんだ特別メニューを作ったりして盛り上がります。僕はせっかくならば、メイドカフェ以外でもやれば良いと思います。スーパーのレジのおばちゃんでも、ラーメン屋の店員でもやれば良い。そうすることで、客と店員の距離が近くなって、そこが他店舗との差別化になって、安売り競争に終始しなくなって、経済が活性化します。

その他、チェキはメイドカフェが流行らせた商品として有名です。デジカメとは違った良さがあるので、今ではメイドカフェ以外でも活用されています。

このように、メイドカフェは、他業種が参考にするべきところがたくさんあります。ノマド会でも、接客関係でなにか行き詰まった時、メイドカフェに行ってメイドさんから学びたいと思います。

まとめ

これで15の発想法すべて検証が終わりました。それでは後半の要約をします。

基礎編9. RTOCS/他人の立場に立つ発想

メイドさんの立場に立ち、メイドカフェ経営者、秋葉原という街という単位での発想で考える。そのためのデータはありふれすぎている。

基礎編10. すべてが意味することは何か

ノマド会は「働き方改革」

基礎編11. 構想

それぞれ特技を持った人が集う自由な空間、お互いの才能を刺激しあってコラボレーションが生まれる場所、それをメイドカフェで作りたい!

実践編1. 感情移入

ITエンジニアという仕事が好き!メイドさんが好き!だから続けられる!

実践編2.どんぶりとセグメンテーション

セグメンテーションが横行するメイドカフェ事情、すべてのノマドワーカーの皆さんは、僕についてきて欲しい!

実践編3.時間軸をずらす

何かきっかけがあったら「お金がない」といって諦めない。そのために今は信用を大切に思っている。

実践編4.横展開

メイドカフェから他業種は学ぶことが多いと思っている。ノマド会も行き詰まったらメイドさんに教えてもらいたい。

まずはやってみることが大事!

Google創業者のラリー・ペイジ氏は「アイデアには価値がない」と言います。

ノマド会を始めた時「これこれこういう構想があってはじめました」と言えるものはありませんでした。ただ、なんとなく成り行きで「これをこうしたらいいんじゃないだろうか?」と進めて行くうちに、出会いもあって広がってきました。今回、本と照らし合わせてみると、その足跡を振り返ってみることができました。

この「15の発想法」は、机に向かって読むのではなく、何でも良いので実践してみた人にこそ響いてくる本だと思います。まだ何か活動していない人は、手短なことからやってみてはどうでしょうか?そして、

次はあなたの活動に「15の発想法」を照らし合わせてみてはどうでしょうか?

 

 


【0から1への発想術】でチェックする「メイドカフェノマド会 」(1/2)

大阪から皆さんこんにちは!ノマド会()なうです

よつばの秘密基地さんにてノマド会なう

メイドカフェノマドで作業が捗ることを証明するため、今回のノマド会では僕はブログを一つ書きました。(書ききれず、翌日秋葉原のメイドカフェで続きを書きました)

0から1の発想術とは

僕の所属するビープラウドという会社ではBPRA(Be Proud Read for Action)という社内読書会をやっています。そこでこの間この本を読みました。

読んでみると、この本に書かれた「15の発想法」が「メイドカフェでノマド」の取り組みに一致しているのではないか!と思ったので、早速検証してみようと思います。

なお、同僚が素晴らしいまとめをしてくれているので、普通のまとめはそちらを御覧ください。

http://blog.hirokiky.org/entry/2017/08/07/085000

この本は何?

この本の著者は大前研一さんです。大前さんといえば、原子力の研究者出身の経営コンサル、国家レベルのアドバイザーという経歴を持たれている有名な方ですね!大前さんは「一人一人が世界を変える時代」「一人一人が個人として戦わなければならない時代」「リーダーが」「常に」「考えておかなければならない」こととして、15の発想法をこの本を書きました。つまり、すべての人に必要な発想法だということだと思います。

15の発想法をメイドカフェノマド会と照らし合わせる

発想法は基礎編1から11、応用編1から4の合計15あります。その全てがノマド会と関係があるとは限りませんが、ここは愚直に全部の章を読み直して、ノマド会を主催している僕の考えと対比してみようと思います。ここには強引な論理の展開やこじつけも多数あると思います。中には本をちゃんと読めていないとおしかりを受けるかもしれませんがご了承ください。

基礎編1. SDF /戦略的自由度

戦略的自由度、つまり、いかに顧客に欲しいものを届けるかです。アンチパターンは2000年代のシャープの例が書かれています。液晶テレビの技術的優位に固執して、より安価な海外のテレビにシェアを奪われてしまったのですね。

これは、よく言われる

「ドリルが欲しいのではない。穴が欲しいのだ」

「蛇口がほしいのではない。水が欲しいのだ」

のことではないでしょうか?

同僚の一人は「TEDのこの動画に当てはまるんじゃないか」と言います。

ここでは「ゴールデンサークル」というものが登場します。

Why ) How ) What)

普通の人はWhatから説明するようです。

What: 我々のコンピュータはすごい性能です

How: こんな機能があって、ユーザーフレンドリーです

一ついりませんか?いりません!

心に響かせるにはWhyから入ると良いそうです。では、メイドカフェノマド会でも当てはめてみましょう

Why: 皆さんに、もっと、自由で、効率的な働き方を提案します。

How: 退屈な仕事には変化を与え、単純作業も集中できて、クリエイティブな発想は刺激され、疲れたら癒やされます。

What: それはメイドカフェでノマドワークです!いかがですか?

ただ、独りよがりではダメみたいですね。

もしかしたら、参加してくれた人は僕の考えとは別の潜在的に求めるものがあって、結果的に「メイドカフェのノマドワーク」というキーワードに惹かれて集まってくれているのかもしれません。

発想は「顧客は何を求めているか?」という命題を常に持っています。「企業が何をしたいか」ではなく「顧客が何を求めているか」が重要です。そして、これは時代によって変化します。

ノマド会はさらに開催回数を増やし、多くの参加者を観察し、その裏側に何が求められているのか、探究して行きたいと思います。

基礎編2. アービトラージ

Arbitrageとは、フランス語由来の金融用語のようです。先日同僚の一人がこんなことを言っていました。

ビットコインの取引所によって取引金額が異なるから取引所間で資金を移動しているだけで利益を得ることができるらしい。

まさにそのことを言います。大前さんの「発想法」では、これを

「情報格差でサヤを抜く」

という意味で使用しています。「情報格差」とは何でしょうか?

例えば、ユニクロは物流システムや原材料について徹底的に研究した結果、「中抜き」を実現し、圧倒的な安価で消費者に商品を届けることができたそうです。

しかし、アービトラージには「賞味期限」があり、すぐに他社によって研究されてしまいます。ではどうするか?大前氏は「情報に対して貪欲になるべきだ」とソニーの創業者の故・盛田昭夫氏のエピソードをあげています。

ノマド会ではどうでしょうか?

情報感度という意味ではこのIT業界、感度の高い人がたくさんいて、僕は感度が低い方です。

しかし、IT勉強会コミュニティという意味ではビープラウドという会社に所属しています。ビープラウドの特徴の一つとして、社長自らがBPStudyという勉強会を主催し、所属するメンバーの多くが技術コミュニティを運営している一面があります。そのため僕がイベントを企画することに理解が得られていることは大きいですし、他のコミュニティの運営者の話を聞くことで自然にその道の情報は集まってきます。

そもそも「ノマド会」を始めたのは「市場調査」が目的でした。本当に「メイドカフェでノマドをする」需要はあるのか?手っ取り早く集める方法だったのです。

そして、実際に開催してみると、参加者の方や、メイドさんたちから、いろいろな声が聞こえるようになりました。そうして、大阪で開催してみたり、貸し切りイベントをやってみたりしました。

何かやってみると、更に次の景色が見えてきます。そして次へ、また次へ。。。つまり、ノマド会とは完成したビジネスではなく、常に情報を集めるための手段なのです。

基礎編3.ニューコンビネーション

オーストラリアで水陸両用バスが成功しているのだそうです。

  • バス + 船 =「水陸両用バス」
  • 個人の知識 + 個人の知識 + …… = 「ウィキペディア」
  • 携帯電話 + クレジットカード = 「おサイフケータイ」
  • 携帯電話 + デジカメ = 「写メ」
  • 写メ + オークション = 「モバオク」
  • セブンイレブン + カフェ = 「セブンカフェ」

このように異なる2つを組み合わせて今までになかったものを作ることを「ニューコンビネーション」と言います。

確かに

  • メイドカフェ + もくもく会 = 「メイドカフェでノマド会」
  • メイドカフェ + コワーキングスペース =「メイドさんの居るノマドカフェ」

はニューコンビネーションかもしれません!

では、僕は単に足し算をしているだけなのでしょうか?いえ、違います。

「足し算」は実は大変な難しさをはらんでいると思っています。

大前さんもまとめの一節で「足し算の仕方を間違ってはいけない」と言っています。それぞれのブランドを相殺してダメにしてしまう足し算もあります。

僕はメイドカフェの良さ、ITコミュニティの良さそれぞれをダメにしないように細心の注意を払っています。

実は「メイドさんを利用してなにかしよう」という人は多いです。しかし、メイドカフェの世界観というのはとてもデリケートで関係者と話し合いながら慎重に進めないとうまくいかないことが多いようです。これは、秋葉原や日本橋にいるオタクと呼ばれる人たち以外には、まだまだメイドカフェという世界の理解が広がっていないことが最大の理由です。

ノマド会は、「ただ足し算する」のはなく、世の中に理解を広げることを並行して行いながら安全に、慎重に足し算していきたいと思っています。

基礎編4. 固定費に対する貢献

メイドカフェの固定費といったら、店舗の家賃です。

今、メイドカフェを経営されている方々の悩みの一つとして、家賃が高騰していることがあると聞きます。メイドカフェは主に夜にお客さんが集まるので、昼間は営業していないお店も多いです。しかしそれでは都内の一等地を長時間無駄にしてしまいます。その一方で平日日中に営業をしてお客さんが集まらなければ、メイドさんの人件費を払うことができません。

ノマド会はその悩みを解決するアイデアの一つです!

ノマド会は平日の日中にも開催します。幸い秋葉原は、ビジネス街でもあります。また、交通の便も良いです。秋葉原でノマドワーカーのような自由な働き方を盛り上げれば、自然と「ノマドする場所」が必要になります。

この説明は、主に、店舗の方と交渉する時の説明に使っています。この切り口で説明すると、お店の方との交渉が上手く行きやすいことに気づきました。やはり、各店舗の課題は同じようです。

平日日中にうまく行ったら、次は朝の時間帯、逆に夜は秋葉原に事務所を構えていらっしゃる会社の会議室を活用できないかも考えています。

基礎編5. デジタル大陸時代

デジタル大陸とは、これまで個別に存在した技術(「デジタルアイランド」)が合体して「大陸」を形成し、「信じられない速さ」で変化していく今の時代のことを言うそうです。

ノマドワークという用語もまさにデジタル大陸の一部だと僕は考えます。

これまで、

  • ノートPC
  • モバイルインターネット
  • カフェ
  • SNS
  • 自由な働き方、生き方への意識のシフト

これらが一つに合体し「ノマドワーク」という時代は、まさにデジタル大陸ではないでしょうか。

そしてデジタル大陸はすごい速さで変化します。頭の固い人には理解できない。

「お前はキャバクラで仕事をするのか!」などという頭の固い人の相手をしていられなかった理由がこれです。

メイドカフェ通いが理由で会社を辞めることになりました

デジタル大陸時代の流れについていく方法の一つとして「餅は餅屋」と大前さんは言います。「わかっている若い人間の発想を利用する」スマホのことはスマホを使いこなせている若者に聞けと言うことです。

僕も「メイドさんはスマホを使いこなしているから、メイドさんのアイデアは参考になる」と言ったことがあります。

ノマド会の参加者には、若い方が多いです。IT業界ではあるあるですが、年は関係ない。10代や20代でも、本業のエンジニアの僕よりも全然すごい人がごろごろいます。なので、僕は自然と年齢に関係なく彼らに敬意を払って接しています。そもそも年齢を聞かないので、あとで「え、そんなに若かったの!」と思うことが圧倒的に多いです!そうして、自然と若い人の意見が入りやすいのがノマド会です。

若い人の他に、メディア関係の方、IT企業の社長の方の参加も多いです。この記事を読むと、メディアの方の着眼点はまさに時代を捉えていると思いました。

「メイドカフェでノマドワーク」が働き方改革の切り札ってホント?:ITpro

社長の方々も流石です。ある社長は「うちの新人社員を連れてきた。うちは自由な社風であることを見せようと思って」と言っていたかと思ったらすぐにその日SNSで「うちは自由な社風です」とアピールしていました。(1社だけでなく2社までも)

もし、ノマド会をやらなかったら、彼らと出会うことはなかったです。そうすると、僕自身が「デジタル大陸時代」で取り残されてしまっていたかもしれません。

基礎編6. 早送りの発想

戦国時代、鉄砲は1543年にポルトガルから伝来しましたが、瞬く間に国内生産され、戦国末期には50万丁以上を保有する世界一の銃保有国になっていたのだそうです。

このエピソードが説明することは、戦国時代の日本人は鉄砲という「兆し」を捉えたのだそうです。

「兆し」はどうしたら捉えられるのか。その方法の一つとしては「カンニング」があるということです。アメリカで成功していることを日本に時間差で持ってくる。孫正義氏のタイムマシン経営というものもあります。

ただ、カンニングするだけではだめのようです。例えば、今日本はアメリカよりも3年おくれているとします。「カンニング」をして現在のアメリカまでを早送りで発想すすめることができます。更に「早送り」をすすめると「5年後」を想像することができます。そこで初めて我々が打つ手が見いだせる。

拙作ですが、メイドカフェの将来を占う上で、我々エンジニアの通ってきた道を照らし合わせたスライドがあります。僕は「メイド」が「産業」として成立する時代が来ると思っています。我々エンジニアと同じように。

参考:アキバで学んだ我々エンジニアの生き方

基礎編7.空いているものを有効活用する

  • ブルドーザーの操縦に使う空いているもう一方の手足 → バケット操作
  • 携帯電話の通信網 → データ通信に活用 = iモード

このように空いているリソースを活用することがビジネスのアイデアになるということです。カーシェアとかシェアハウスなども、その事例らしいですね。

「空いている店舗というリソースを活用する」ことは前述しました。しかし、店舗以外にも重要なリソースがあると思っています。それは「メイドさん」です。

今、メイドカフェで数年働かれた女性が、メイドさんを辞められて会社勤めをされていたり、ご家庭で子育てをされていると思います。彼女らの接客力、キッチンやホールのスキルを活用できないままにしておくのはもったいないと思います。

「メイドさんの仕事は楽しいからまたやりたいな」と思っている。けれど、生活のため今は違う仕事をしている。「今更萌え萌えきゅんは恥ずかしい」という方もいるでしょう。ちゃんと彼女たちの考えを聞いて、メリットになる方法を提案できれば、一緒にいろいろな取組みができると思っています。

とてもうれしいことに既にその兆しは起きていて、元メイドさん、現役メイドさんから意見やアイデアが届き始めています。

彼女たちのもつ物「シーズ」と、世の中が求めること「ニーズ」を照らし合わせて、最大限の取り組みを作っていきたいと思っています。

基礎編8.中間地点の発想

  • ボーイング727:2,4,8のような偶数が常識だった発動機→3発エンジンで成功
  • ガーラ湯沢駅:新幹線に支線をスキー場へ伸ばす→スーツを着たままスキーに行く!
  • 新幹線品川駅:東京の近くなのになぜ!?→羽田空港に直結&リニアの発着駅に
  • 24枚撮りフィルム:20枚では足りない。36枚では多い

このような誰でも思いつきそうなのに意外となかったアイデアがぽっと出た時に成功する事例は多々あるようです。

さて、メイドカフェは正しい中間地点になっているのではないかと思います。例えば、今、次の両極端が存在します

  • チェーン型のコーヒーショップ:安い。合理化されたオペレーション。店員とのコミュニケーションは皆無!
  • ガールズバー:お酒飲みながらお店の女の子とお話することが目的の場所。高い。

でも、僕らが欲しかったものはこういうのではないでしょうか。

個人経営の喫茶店、店主の親戚の女の子が働いていて、別にその子とおしゃべりすることが目的ではないけど、よく会うのでだんだん慣れてきて、ちょっとお話することもある。その子に会いたくて、ついお店に行ってしまう。合理化されていないから紅茶は一杯500円くらい。ゆっくり過ごしても怒られない。

今その役割を担っているのがメイドカフェです。ここでは説明を割愛します(詳しくは過去の記事を読んで下さい)が、行ったことがある人は説明するまでもなく納得できるでしょう。つまり、メイドカフェとは飲食業界のボーイング727なのです!

ノマド会はどうでしょうか?ノマド会はノマドワーカーのためのガーラ湯沢駅、または品川駅ではないかと思いますが、どうでしょうか?

前半まとめ

15の発想のうち1から8までを検証しました。ここまでをもう一度おさらいしましょう。

基礎編1. SDF /戦略的自由度

ノマド会の開催回数を増やし、多くの参加者を観察し、その裏側に何が求められているのか、探究して行く

基礎編2. アービトラージ

ノマド会は「市場調査」であって、ノマド会とは完成したビジネスではなく、常に情報を集めるための手段と捉える。

基礎編3.ニューコンビネーション

「ただ足し算する」のはなく、世の中に理解を広げることを並行して行いながら安全に、慎重に足し算する。

基礎編4. 固定費に対する貢献

昼間、使っていない店舗の活用。ゆくゆくは夜使っていない会社の活用。

基礎編5. デジタル大陸時代

参加者の若い人、メディア関係者、社長さんから時代の動きを学ぶ。

基礎編6. 早送りの発想

メイドが産業になっている未来を考える。

基礎編7.空いているものを有効活用する

メイドさんの才能を活用する。メイドさん、元メイドさんの話を聞く。

基礎編8.中間地点の発想

メイドカフェはボーイング727!ノマド会はガーラ湯沢駅!

設計と実装、抽象と具体、本とノマド会

ビジネス書は往々にして、それを読んだらアイデアが出るというより、既にビジネスをやっている人が自分のやっていることが正しいか答え合わせをするためにあるそうです。

「メイドカフェでノマド会」は何度も言っていますが「ビジネス」ではなく「趣味」です。ですが、趣味であっても、PDCAをしっかり回して活動を進めていくと、同じようなことが言えると思います。

では、この本は、これから始める人には不要なのか?と言えばそうではないでしょう。本の冒頭に書かれているように、個人が個人として戦う現代を知るには、わかりやすい本だと思います。

そして、僕は「メイドカフェでノマド会」をやっていたからこそ、「ああ、これはこのことだ」と本を理解することができました。僕の場合は「メイドカフェノマド会」ですが、趣味でも勉強でも良いので、本という「設計」と、実地体験という「実装」を肌で体験することで、抽象も具体も体得することができて、より日々を効果的に生きていくことができるのではないかと思います。

後半に続く

まだ9から15までがあるので、後日続きを書こうと思います。