この記事はメイドアドベントカレンダー2019の4日目です。
今日は、メイドカフェオタクにして、「メイドカフェでノマド会」という組織のリーダーでもある僕が、組織運営とリーダーシップについて、メイドカフェに当てはめて考えてみたいと思います。
僕がメイドカフェで組織運営を考えたきっかけ
今でこそ、メイドカフェでノマド会の代表をやっている僕も、初めてメイドカフェに通ったのは2015年1月なので今から5年前になります。その時期の僕は、この記事でも少し書きましたが、仕事でうまく行かず、良い組織とはなにか、リーダーとは何かを考えていた時期でもありました。
その時、僕は理想の組織を見つけた気がしました。当時通っていた女中酒場幻橙館というお店は、鈴峰桐さんというメイドさん店長を中心として、メイドさんたちやお客さんたちがとても仲が良い素晴らしいお店でした。
僕はトップダウン式の「俺が引っ張る」タイプのリーダーではなかったので、こんな感じでみんなが仲良くて、それぞれが才能を発揮してのびのびとやっていけるチームを作っていくのが合っているのではないかと思いました。
そこで、メイドカフェでノマド会という組織を作ってみました。
このように「組織運営」という観点でメイドカフェを見ている僕にとって、今年面白い本を読んだので、その内容をメイドカフェに当てはめて考えてみたいと思います
ティール組織とは
今年の初め、友達の勧めで読んでみたのはこの本です。
この本を書いた人はフレデリック・ラルーさんという人です。
彼はマッキンゼーから独立してエグゼクティブ・アドバイザー等として活動している人で「新しい組織モデルが出現している」ということを確認するため2年半に渡って世界中の企業を調査した結果をこの本にまとめました。
彼は組織が時代に応じて進化しているという着眼点でまとめました。そして、組織の形態を次の5段階に当てはめて説明します。
- レッド組織: 力・恐怖による支配
- アンバー組織: 規則・規律・規範による階層構造。
- オレンジ組織: 実力主義と効率化に基づく階層組織。
- グリーン組織: 多様性と平等を目指すコミュニティ型組織。
- ティール組織: 変化の激しい時代における生命体組織
これではわかりにくいのは、僕は独自にこの話を次のように理解しています。
- レッド=戦国時代: 生きるか死ぬか。殺すか殺されるか。
- アンバー=江戸時代: 江戸幕府絶対。忠臣蔵な世界。
- オレンジ=明治維新: 文明開化と効率化。
- グリーン=昭和: 家族型経営、松下幸之助
- ティール=未来: 新しい時代の組織のあり方(?)
ちょっと強引な理解ですが、こう考えるととてもわかりやすいと思っています。そういえば、今年、明智光秀の舞台を見に行きましたが、まさに殺伐とした感じが「レッド組織」そのものだと思いました。
メイドカフェに各組織段階を当てはめてみる
レッドなメイドカフェとは
レッド組織は「殺すか殺されるか?」という生命の維持を動機としています。力のある者は力のないものを支配し、力のない者は力のある者に守ってもらうことによって生き延びようとします。
これをメイドカフェに当てはめるのは難しいでしょう。
詳しくないのであたっていないかもしれませんが、どちらかというと個人プレイの性質がより強いキャバ嬢はこっちの要素もあるかもしれません。
アンバーなメイドカフェとは
アンバー組織では序列がしっかりしています。メイドカフェに当てはめると、後輩メイドさんは必ず先輩メイドさんを敬わなければならないというような序列があったりするような状態です。
アンバー組織は軍隊のような大きな組織を作るのに適しています。一方、組織を維持するために大きなコストを払わなければならないため、効率が非常に悪く、店舗経営には向かないような気がします。特に個人経営のような小さな店舗ではこのやり方では維持できないでしょう。そこで、多くのお店はオレンジ的に運営されているのではないかと思います。
オレンジなメイドカフェとは
オレンジなメイドカフェは、実力主義・効率主義が徹底しています。売上などの目標を定めて、みんなで達成するように努力する。総選挙のようなことをやってメイドさんを評価するのもありかもしれません。
オレンジ路線を極めたお店は「クオリティが高い」「納得感のある」お店に映るかもしれません。その一方でこれだけでは「普通のお店」のような気もします。そもそも、メイドカフェ自体が「効率の悪い」業態なので、わざわざメイドカフェなんかやめてもっと稼げる業態にすべきです。
メイドカフェには効率だけでなく「メイドさんの個性」や「多様性」というものも必要ではないかと思います。そして、ほとんどの「良いお店」は次の「グリーン」的な要素を持っていると思います。
グリーンなメイドカフェとは
グリーンなメイドカフェではメイドさんやお客さんの個性や多様性を認めようと努力がなされます。グリーンなメイドカフェで働くメイドさんは次のようなことを言うでしょう。
「うちのお店ってアットホームだよね」
「みんな仲良しで家族みたいだよね」
利用するお客さんたちも
「この店はなんか居心地が良いな」
と言ったような額面以外の価値に気づいて、つい行きたくなってしまいます。
その裏では、運営者やリーダーの方々のたゆまぬ努力が繰り広げられています。僕が今まで話したことがあるメイドカフェの経営者さんは皆素晴らしい方々でした。メイドさんたちがどのようにしたら気持ちよく働けるか、お客さんが楽しめるかを一生懸命考えられています。
ティールなメイドカフェとは
さて、そして最後はティールなメイドカフェです。ティール組織では、個々のメンバーが細胞のように振る舞います。メイドさんたちは自主的に考えて行動(自主経営)し、メイドさんとして働くことが自分の生き方の表現であると考え(ホールネス)ています。
僕が好きだった、女中酒場幻橙館は、桐さんをリーダーとしつつも、若い店長を「みんなで支えよう」として、すべてのメイドさんたちが得意な分野で才能を発揮してみんなでお店を良くしようとしていました(という風にお客さん視点では見えました)その雰囲気はメイドさんたちだけでなく「ご主人さま」「お嬢様」方にも波及し、様々な貢献を率先して行う人たちの集まりでした。
今思うと、幻橙館はティール組織だったのかもしれません。
細胞を束ねて組織をするためには「存在意義」が必要です。「存在意義」というと難しいです。それは言葉で表せる「コンセプト」だけでなく「なんとなく、残したい雰囲気」のようなものを持っているのです。女中酒場幻橙館は閉店後も3年以上「月一幻橙館」として、メイドさんや当時のお客さんたちが集っていました。このように維持されるのは、暗黙に皆が「存在意義」を感じていたからではないでしょうか。
メイドカフェにはグリーン・ティールが必要
思うに、レッド<アンバー<<オレンジ<<<<グリーン<<<<<ティールの順に、そのお店が面白くなるような気がします。「良いお店」とは、多様性があって、個性が認められて、働く人が輝いています。それはグリーンやティールの要素です。
メイドカフェとは、働く人の個性や多様性がより重視される業態だと思います。
経営という観点ではオレンジ的な考え方が重視されがちだと思いますが、本当に成功するためには、これらのニュアンスを取り入れることが必要だし、すでに自然と取り入れられているような気がします。
だから、良いメイドカフェを観察すれば、自ずと「グリーン」や「ティール」のようなニュアンスを学ぶことができるのではないかと思います。
メイドカフェでノマド会をティールにできるか?
メイドカフェでノマド会は比較的組織構築がうまく言ったと思っています。もっとも、「組織」というほど強い枠組みを作らないようにしています。それは、当初から僕が階層構造にうんざりしていたからもあり「なるべく階層を作らないように」と考えていました。
そして、ティールなメイドカフェである、女中酒場幻橙館を参考にしていたこともあり、理想はティール組織にしたいです。
ただ、現段階ではほとんどのイベントを僕が企画・運営していることもあるので、まだグリーン組織かなと思います。しかし「私もイベントをやってみたい」「ノマド会を企画したい」という人が徐々に出てきており、その人達を支援したいと思っています。いずれは、メイドカフェでノマド会のノウハウを、各々が思う目的を達成するために使ってもらえればと思います。
メイドカフェでノマド会ではイベントオーガナイザーを募集しています。「メイドさんやメイドカフェと絡めて何かをやってみたい」「自分の好きなお店でメイドカフェでノマド会を開催したい」というような方は、ぜひTwitter (@maidnomad) へDMでご連絡ください。